高度診断研究部 病理診断研究室

  • 室長 西村 理恵子
  • 研究員
    • 市原 周(名誉室長)
    • 久保田 敏信
  • 客員研究員
    • 安藤 正海(東京理科大学教授)
    • 湯浅 哲也(山形大学教授)
    • 森谷 鈴子(滋賀医科大学准教授)
    • 砂口 尚輝(名古屋大学准教授)
    • 桐山 理美(名古屋第一赤十字病院医員)
  • 研究生 AHMED ELSAYED ELADL(Mansoura University, Egypt)
  • 秘書 皆吉 麻衣

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平成29年度国立病院機構共同臨床研究

1)H29-NHO(癌般)-01 (新規)
『乳癌特殊型の分子病理学的解析に基づく新規治療法と新分類の提唱』
研究代表者所属: 名古屋医療センター  研究代表者名: 川崎 朋範

2)H29-NHO(多共)-02 (延長)
『国立病院機構における遠隔病理診断ネットワーク構築』
研究代表者所属: 名古屋医療センター  研究代表者名: 市原 周

3)H29-NHO(がん一般)-02 (延長)
『細胞診検体を用いた乳癌薬物療法適応決定のための基礎研究』
研究代表者所属: 四国がんセンター  研究代表者名: 西村 理恵子
Handy Manual for Receptor Analyses Using Cytological Specimens from Breast Cancer Metastases [PDF]

4)H27-NHO(多共)-02 (継続)
『病理診断支援システムの機能と病理部門インシデントの関係を調査する前向き登録研究』
研究代表者所属: 四国がんセンター  研究代表者名: 寺本 典弘

5)H28-NHO(多共)-02 (継続)
『メトトレキサート(MTX)関連リンパ増殖性疾患の病態解明のための多施設共同研究』
研究代表者所属: 大阪南医療センター  研究代表者名: 星田 義彦

 

日本医療開発機構 (AMED): 平成28年度「臨床研究等ICT基盤構築研究事業」

『AI等の利活用を見据えた病理組織デジタル画像(P-WSI)の収集基盤整備と病理支援システム開発』

委託先機関名: 一般社団法人 日本病理学会
研究代表者名: 深山 正久(一般社団法人 日本病理学会 理事長)
研究協力機関: 名古屋医療センター 病理診断科
共同研究者名: 川崎 朋範 市原 周

 

乳腺神経内分泌癌の臨床的意義と生物学的特性

神経内分泌乳癌の病理と臨床について教えてください.
http://nyugan.info/tt/qa/q2_14.html
乳癌診療 TIPS & TRAPS.2013; 41: 1-3.

【乳癌の病理形態と臨床的意義】 Mammary carcinomas with neuroendocrine features. https://www.shinoharashinsha.co.jp/nyugan/ActiBook/30_5/HTML/index4.html
乳癌の臨床.2015; 30: 429-35.

 

乳腺における細胞診断学

病理専門医として押さえておきたい乳腺疾患の細胞病理学的特徴 -伝統的な所見から最近の知見まで
http://www.intern.co.jp/jscc49aki/hand/pw1.pdf
第49回日本臨床細胞学会秋期大会 実践的細胞診断ワークショップ1 乳腺細胞診断ことはじめ ハンドアウト.2010; 5-18.

 

Phase contrast X-ray CT の病理学への応用

現在医療で利用されているX線は吸収コントラストに基づいています。吸収コントラストは、カルシウムの沈着した骨、空気を含む肺、造影剤を利用した一部の管腔臓器を描出できますが、その他の軟部組織の解剖学的構造を描出することは苦手でした。20世紀末から位相コントラストを利用したX線イメージングの研究が始まっています。我々が注目している位相コントラストX線の原理は、筑波にある高エネルギー加速器研究機構教授を長く務められた安藤正海博士のグループによって開発されたものです。最近、ハーバード大学と共同研究が始まり、以下の論文に成果が掲載されました。
Ando M, Sunaguchi N, Wu Y, Do S, Sung Y, Louissaint A, Yuasa T, Ichihara S, Gupta R. Crystal analyser-based X-ray phase contrast imaging in the dark field: implementation and evaluation using excised tissue specimens. Eur Radiol. 2014 Feb;24(2):423-33.
Ichihara S, Ando M, Maksimenko A, Yuasa T, Sugiyama H, Hashimoto E, Yamasaki K, Mori K, Arai Y, Endo T. 3-D reconstruction and virtual ductoscopy of high-grade ductal carcinoma in situ of the breast with casting type calcifications using refraction-based X-ray CT. Virchows Arch. 2008 Jan;452(1):41-7.

市原前室長は、位相コントラストX線CTを使えば、ミクロの構造の3次元構築が可能になると考え、10年前より、安藤博士のグループと共同研究を行なってきました。

位相コントラストによる高精度医用画像研究会

日本医用工学会雑誌JAMIT Vol.28 No.2 (2010)

第71回応用物理学会九州支部・放射線分科会・アジア放射光バイオメディカルイメージング会議合同企画「放射光を用いた医学生物学イメージング現状と将来」(2010年9月15日長崎大学)で講演しました。

Isotope News2008年2月号 「屈折原理にもとづくX線CTの医学応用―鋳型状石灰化を呈する非浸潤性乳管癌の3次元再構築と仮想乳管内視鏡撮影」

日本非破壊検査協会機関紙「非破壊検査」2007年4月号
「乳ガン早期診断を目指す新エックス線画像開発」 安藤 正海/マクシメンコ アントン/湯浅 哲也/杉山 弘/市原 周/遠藤登喜子

http://www.jsndi.jp/bulletin/J_02_Apr07.html

 

放射線非照射をめざす乳房温存手術のための断端検索法 Margin assessment for breast conserving surgery without irradiation: Polygon Method

放射線照射は温存手術後の乳癌局所再発を抑制する効果を示しますが、すべての温存手術症例に一律に放射線を照射することは過剰治療を引き起こします。というのは限局した乳癌は手術によって完全に除去され乳房内に癌が残っていないからです。オランダのRoland Holland博士のグループは、乳房全摘術が治療の第一選択だった1980年代前半に全摘された135例の乳癌について癌の分布を病理学的に詳しく調べました。その結果、乳癌の約半数は、主腫瘤の縁から1cmを越えると浸潤癌、管内癌、脈管内の癌が見られない限局型乳癌(Breast carcinoma of limited extent)であると結論しました(Faverly et al. Cancer 2001;91:647-59)。すなわち、おおざっぱに言って、乳癌の半数は適切に行なえば局所の手術だけで取り切ることが可能です。問題は真の再発の原因となる乳癌(とくに管内成分)の術後乳房内残存を精密に判定する技術が確立されていないことです。市原前室長らは、我が国に温存術が導入されて間もない2000年頃にこの問題に気づき、インク断端よりも精度が高いことが示唆される断端に平行なスライスを用いる画期的な断端検索法:Polygon methodを開発しました(Ichihara S et al. Histopathology 2001;39:85-92、市原周 医学のあゆみ2001. Vol.197)。幸いにして外科、放射線科とタッグを組み、今日まで一貫して日本でもっとも厳密な断端検索を行なってきました。
Polygon methodは、乳腺組織の病理検索における「独特の難問」を解決したのです。「独特の難問」というのはpreanalytical なもので、外科手術と病理検査の谷間に横たわり、その問題の存在自体、外科医も病理医も気づきにくいものでした。それは、外科医が円柱状に切除した柔らかい乳腺組織が、そのままコルク板に張り付けられてホルマリン固定されると、重力で変形して底面、側面の区別が不明瞭な、ホットケーキのような扁平な形になることです。これをアメリカの外科医であるGrahamらはPancake phenomenonと名付けました。さらにGraham博士は、次のように述べています。

Ichihara has described an adjustable mould that is used in order to prevent the three-dimensional specimen from distorting during fixation. This mould was created in order to facilitate margin evaluation and to minimize the number of blocks required, but might also serve to alleviate specimen flattening.  (Graham et al. Am J Surg. 2002 Aug;184:89-93.)

Graham博士も指摘しているようにPolygon method では、温存手術直後に円柱状の標本を多角柱の型枠内で固定することによりパンケーキ現象を防止します。これにより断端に平行なshave断端の全周性かつ精密な評価が可能となりました。

Polygon methodによる断端検索を行った乳癌症例123例のうち断端陰性であった80例を放射線非照射で10年以上追跡したところ局所再発が5例(6.3%)に見られました(unpublished data)。この値はランダム化比較試験における放射線照射群の局所再発率(4~14.3%)の下限に近いものです。なぜ、欧米のランダム化比較試験では、放射線非照射群で局所再発が14%~39.2%(mean 27.3%)という高頻度で生ずるのでしょうか?温存手術後の局所再発には残存乳癌からの真の再発と、温存乳腺からの新発生の癌の2種類が存在します(Komoike Y et al.Breast Cancer 2005)。前者に強い影響を及ぼす因子は切除断端の状態です。ランダム化比較試験における温存手術の切除断端は、通常インク断端(Ink margin)に基づいて評価されたものです。すなわち、あらかじめインクを塗布しておいた断端面に直交する面を顕微鏡で観察することにより判定されます。

われわれの立てた仮説は、以下のようなものです。「Polygon methodを行なって断端陰性であった症例では温存乳房内に癌が残存していないため、放射線照射なしに10年以上の長期に渡って観察しても真の再発(true recurrence)はなく、生ずるのは転移か新発生の癌(new primary)のみである。」すなわち、我々の放射線非照射群の乳癌局所再発(6.3%)と欧米のランダム化比較試験における放射線非照射群の乳癌局所再発(27.3%)の差は、主に真の再発の差ではないかということです。現在、この仮説を分子病理学的な手法を用いて検証しようと計画中です。もし、我々の仮説が正しいとすると、現在スタンダードとなっている、温存術後の放射線照射は、大きく見直されることになるでしょう。というのは、放射線照射の根拠となっているランダム化比較試験は、インク断端に基づいているからです。残念ながら、インク断端よりも精度が高いことが示唆されるShave marginを用いたランダム化比較試験は実施されていません。
以下は、Holland博士による乳腺温存手術における断端検索に関するすぐれた総説です。これは市原前室長が出席した2002年のIAP総会のショートコース「断端検索と遺残腫瘍」で配布されたハンドアウトに掲載されたものです。

Roland Holland  IAP congress 2002 Amsterdam Short Course 10 Margin involvement and residual tumor  Margin Assessment, Residual Tumor and Therapeutic Consequences. A Multi-disciplinary ApproachHandout p13-14

https://docs.google.com/Doc?docid=0Ad94qEeChpZlZGNzNGRnYmJfMTQ3aGJucjQz&hl=ja

市原周 乳房温存治療の病理学:病理組織学的断端評価の意義(医学のあゆみ Vol.197 No.6 2001.5.12)

https://docs.google.com/Doc?docid=0Ad94qEeChpZlZGNzNGRnYmJfMTE2ZzZodnBr&hl=ja

市原周 乳房温存手術における断端検索の工夫-立体的型枠を用いた断端全面評価法 (医学のあゆみVol.207 N0.3 2003.10.18

https://docs.google.com/Doc?docid=0Ad94qEeChpZlZGNzNGRnYmJfMTQxZ3Zybnpz&hl=ja

 

乳腺腫瘍up to date: WHO分類改訂の要点

<総論> WHO分類2012 改訂のポイント/市原 周
<各論:浸潤癌特殊型> Carcinoma with neuroendocrine features/川崎 朋範
http://www.bunkodo.co.jp/byori_23/magazine_detail_4.html
病理と臨床.2013; 31.
特集 「乳腺腫瘍の組織分類はどうあるべきか?」 によせて/市原 周
充実腺管状パターンを示す乳癌 – 新WHO分類の観点から -/川崎 朋範
http://mol.medicalonline.jp/archive/search?jo=cd9jjodp&ye=2016&vo=33&issue=1
診断病理.2016; 33.

乳腺の神経内分泌型非浸潤性乳管癌 (NE-DCIS)

-独特な臨床像および病理学的特徴を有するDCISの特殊亜型-
http://www.sasappa.co.jp/online/abstract/jjdp/1/027/html/0910270301.html
診断病理.2010; 27: 171-82.

 

非浸潤性乳管癌 (DCIS) に対する免疫組織化学的アプローチ

-Neuroendocrine DCIS を含めて-
http://www.de-hon.ne.jp/digital/bin/product.asp?sku=2000003219162800500P
乳癌の臨床.2008; 23: 479-94.

 

免疫染色マーカーによる病理診断の精度向上

国立がん研究センターがん情報サービス外科病理診断の手引きで情報提供しています。
タイトル:乳管内乳頭状病変の診断:免疫染色によるアプローチ
http://ganjoho.ncc.go.jp/professional/med_info/surgical_pathology/breast_papillary_lesion.html